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千曲川源流の川上村で

八ヶ岳山麓の野辺山高原に川上村を訪ねたおり、絶滅が危惧されていた天然記念物の川上犬に出会うことができた。

純粋の日本犬。

村の人たち皆が大切に見守って育ててきて近年350頭近くまで増えたそうである。

役場で川上犬を飼育している。名前をたずねた。

”ゲンリュウ”と答えが返ってきた。

ゲンリュウ?。一瞬間をおいて意味が分かり微笑ましくなった。

川上村は島崎藤村が詠った”千曲川旅情の歌”で有名な千曲川源流の村だ。

 

那珂川を溯り源流の深山湖へ

車を駆って高原をたずねると美しい渓谷沿いや思わず息をのむ絶壁沿いの道にであう。

どこかで大河に合流して私たちの暮らしに大切な水の源になっているのだろう。

大きな川に遡っていくと平野を過ぎ変化の多い中山間地を通って高原に辿りつき、渓流の合流や山麓の美しい谷川に名も知られていない小さな滝を見るかもしれない‥‥。

そんなことを思い浮かべて、ロマンチック街道の高原の最後にたずねた栃木県の那須連山に源を発している那珂川沿いを、川下の那須烏山市の辺りから、”源流“に遡ってみた。

 

那須烏山市の辺りを流れている那珂川は大きな河であるが、首都圏近くの関東平野を滔々と流れている大河とは景観が異なる。

源流を目指す行程の基点を道の駅において、那珂川沿いの国道294号線を大きく離れないように川上を目指す。

鮎で有名な河だ。江戸へ米を運ぶ水運の役割を果たしていた川でもあった。国道294号線沿いの町屋に往時の繁栄の面影を残している。

美しい跨線橋、烏山大橋を渡り軽トラがやっと通れる細い道に迷って棚田の集落に出た。国見の棚田と北限のミカン園だ。

 

那珂川町の川沿いは、豊かな農村地帯だ。河川敷のような地勢に拓かれた畑にトマト団地があった。しばらく上がるとイチゴの栽培ハウスが整然と並んでいる。小さな農産物直売所も随所にあり、絵本の丘や歌川広重の作品を中心とする浮世絵の美術館も、立ち寄る楽しみの多い地域である。

 

畑で農家の人とお喋りできた。

さまざまな旬野菜が美味しい。

本場のイチゴは言う迄もなし。

 

明治になって開拓が進み始めた“那須野が原”を支流を集めながら流れている。

那須野が原は、那珂川と箒川に挟まれた広大な扇状地で、その広さは約4万ha、標高150㍍~500㍍の緩やかな傾斜の高原大地である。

川幅が次第に狭くなってきた。

道の駅東山道伊王野に近づくと那須連山の主峰茶臼岳から流れる世笹川と三蔵川が合流し那珂川にそそぐ。道の駅“東山道伊王野”の水車を三蔵川の清流を利用して蕎麦を挽く石臼の「動力」として利用している。

 

その先、遊行柳にも行ってみた。西行、芭蕉、蕪村の歌碑がある。

松尾芭蕉ゆかりの史跡が随所にみられた。芭蕉も陸奥への旅を江戸から那珂川沿いの道へと辿ってきたのだろうか。

 

松並木が美しい那須街道の道の駅“友愛の森”へ。

道の駅はそれぞれに地域特性があって興味を惹かれる。

とくに物産直売所コーナーは季節の新鮮野菜が揃っていて楽しい。地元特産の加工食品も目を惹く。随所で温泉とイチゴに惹かれてコースが少し逸れた。

アユ釣り

アユ釣り

北限のミカン園

北限のミカン園

ハウスの連なる農場

ハウスの連なる農場

遊行柳

遊行柳

松並木

松並木

両岸が急傾斜の谷川になり流れのはやい音色を響かせていた。

800㍍を超えて、漸くたどり着いた沼原湿原の深山湖。那珂川の源流だ。

沼原湿原から深山湖に、深山湖から流れ出した一本の谷川が、那須連山の多くの渓流や小さな谷川をよび集めて、下流の中山間地を潤しながら海に向かっているのだ。川の自然景観は川下から訪ねて良かったと思わせる多彩な変化と美しさだ。季節を追いかけているように自然の色を高さの変化で見せてくれる。

合流

合流

巻狩祭り

巻狩祭り

乙女の滝

乙女の滝

沢名川の渓流

沢名川の渓流

那珂川上流

那珂川上流

余笹川と茶臼岳

余笹川と茶臼岳

箒川

箒川

回顧のつり橋

回顧のつり橋

蛇尾川

蛇尾川

那須高原大橋

那須高原大橋

深山湖

深山湖

深山ダム

深山ダム

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